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今年も受験日が終わった。
研究室から抜け出し、散歩ついでに折田先生像を見に行ったりした。
本部方向は普段から足を伸ばさないが、やはり人が多くてびっくりした。
自分が受験した時からだいぶ経っているから、受験生の気持ちを推し量ることは困難になりつつある。
それでも、一年間やってきたことをぶつけてみたときは感触はあまりなかった。
紆余曲折経て今ここにいるわけだが、もしかすると受かっていたら自分はダメになっていたかもしれないという風に思うことがある。
逆に今が非常に楽しく感じられるのも、苦労してきたからなのだろう。
しかし、受験というのは辛いものである。
好きなことだけでなく嫌いなこともやらなければならない。
これはかなりストレスを強いる。
自分は今でこそそれなりに英語と付き合えるようになったが、本当に英語は嫌いだった。
漢字が大好きだった。
今はほとんどが英語である。それも毛嫌いせずに読んでいる。
とはいえ科学英語はやはりわかりやすい。
変わった表現があっても、例えばラテン語だったりして知らないだけだし、そんな飾った言葉よりも相手にいかにわかってもらえるかが大事なのだから変わった表現もそのための工夫だ。
今年受かった受験生がM1になるのは私がDのころだろうか。
是非とも天文に興味ある子は臆せず研究室に訪ねてきてほしいものである。
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Large Magellanic Cloud(LMC)は日本語で言うところの大マゼラン雲である。
日本から見ることはほとんどできないが、私はニュージランドに行った際に見たことがある。
LMCともう一つ小マゼラン雲というのがあって、これらは校正によく使われる。
ここでいう校正というのは距離校正である。
それこそ女性研究者といえばキュリーという声があるが、私の中では変光星の研究をしていたヘンリエッタ・リービットも素晴らしい研究者だと思う。
そのヘンリエッタの結果はのちにハッブルが求めたハッブルの法則につながる。
何をしていたかというと、ヘンリエッタは大マゼラン雲や小マゼラン雲を撮影(当時は写真乾板)し、その中から変光星といわれるものを同定した。
そして、その中でもケフェイド(現在ではケフェイド1)を使って変光の周期と星の光度の関係(周期光度関係)を導いた論文を書いた。
これは、天体の距離を求める上で大事になる。
ハッブルの当時というのは銀河というのは天の川しかなかった。
アンドロメダ銀河は遠い彼方ではなかった。
それを突き止める手法としてケフェイドの周期光度関係が役に立ったのだ。
今も銀河の距離を求めたりするのに非常に役に立っている。
科学の世界とはこういう知恵のバトンタッチである。
そこに求められるのは科学を追求し、自然の中に隠されたものをさらうことである。
まるで砂金を探すようである。
大マゼラン雲は今でも距離校正として使われている。
距離係数としてだいたい18.49ぐらいで、実際には銀河も傾いているのでそれも考慮しなければいけないが、それでも非常に精度はよく、私の研究にも関係してくる。
だから、LMCは感慨深い。
SFを今も読んでいる。
やはりSFは自分の知性を刺激してくれるいい本で、アイディアがたくさん詰まっている。
ある意味で、SFの世界は突拍子もないものもあるが、現実になったようなこともあり、また未来を予言しているかのようなものもある。
眉村卓の小説に出てくる”イミジェクス”というものも、それに似たようなものが今もできている。
最近では『バックトゥーザフューチャー』に出てくるようなものまで製品化されている。
私のもっぱら興味があるのは情報化が進んだ社会の崩壊の話だ。
情報というものがどんどん拡大するが、そのセキュリティーはある暗号でなりたっている。その暗号の解読方法が見つかって、情報に鍵をつけることが不可能になった世界は恐慌をきたすうんたらの話である。
これは、気をつけなければいけない問題だと思う。
マイナンバーの話だと、情報を結構集約する。
集約して便利になるが、その分セキュリティーというものが破られると、とんでもないことになることは間違いないし、天才が生じて個人情報が永久に失われたらという妄想をするととんでもないことである。
この情報というものに対して人間は慎重に付き合っていく必要が有ると私は思っている。
今や小学生が持っているスマートフォン。
これからいろいろと発信していくが、これは裏を返せば情報の取り扱い方を知らないまま使えば人生を狂わせる可能性を秘めているということだ。
それこそツイッターで起こったようなことのように。
SFの世界のように情報危機が発生しないようにもうちょっと考える必要があると思うのだけども、やはり苦しまないとわからないのかなって思う今日この頃である。
まあ、こんなこと杞憂で終わればいいのですがね…
重力波検知は素晴らしい報告だった。
もちろん、先を越されたなと思うけども、そもそもLIGOは日本のKAGRAよりももっと先に作られていたのだ。
そして、運良く恒星ブラックホールの合体による重力波を検知したのだ。
これも運であろう。
ところで、重力波が検知されると何がうれしいのかはあまりしっかりと語られていないと思う。(おもにマスメディア的な意味で)
マスメディアは専ら麻薬やら不倫やらが好きみたいで、この人間の叡智をちゃんと解説できる人がいないようだ。
それはやはり非常にまずいことだとは思う。
英語ばかりできるようになっても、肝心の中身がスカスカだとだめで、それこそプリゴジンのようなタイプと渡り合えるような人間を育てるのに向いていない。
文理の乖離が激しく、そうなると一方がやっていることを全く理解しないで適当に判断してしまう。
つまりは、自分の専門を離れて学ぶという姿勢がないと、結局のところ人間は成長できない。成長ができないから、狭い閉じた世界で判断せざる終えないから適当になってしまう。
話が脱線した。
重力波の検知が新しい夜明けになるのは、簡単にいうと次のことによるものだ。
今までの人間の科学というのは、おおよそ電気や光の相互作用によって世界を知覚していた。
ところが、身近な重力という存在は感じることができても、それを人間の目のかわりとすることはできなかった。
光で見えるというのには限界があって、その最たる物がブラックホールとかだった。ブラックホールは間接的には見えるが、今回のようなブラックホールの合体という物を直接検出することがされていなかった。
それも重力波は空間のゆがみだといえどもそれはほんのわずかにしか歪まない。だから検出されたこと自体がすごいことで、新たな人間の目になることは間違いない。
重力波で知りたいことは宇宙の晴れ上がりよりももっと昔はどうなっていたかだ。
これは宇宙の始まりを知ることとほとんど同義である。
だから、素晴らしい発見だったのだ。
物理は勉強するのが大変だからという話を高校生からよく聴く。
高校生曰く数学も大変で、その数学を使う物理は嫌だとか。
そういう話を聞いて、物理は暗記することも少なくてちゃんと考えたらこれほど面白いものはないのになと常々思うのである。
確かに、生物や化学と違って物理はとっつきにくい印象を与える。
それはそのはずで、最初に習う力学は微分積分無しでは考えるのが辛い話だ。
それともう一つ大事なことがあって、物理には次元があるということである。
速度と訊かれているのにエネルギーを答えることは大きな間違いなのだ。しかし、この微分積分と次元というのがなかなかに結びつかないのがネックだと思う。
高校生的には大学の受験を突破する上で必要なものだけを勉強すればいいと考えている。
これは少ない教科で受験する私立だとかだと、英語、数学にあと生物で事足りてしまったりする。
親の話を聞く限り、昔は理系といえば物理と化学だったそうな。
こう言ってはなんだが、生物で物理を学ばないのはもったいないと思っている。
物理はやはり物の理(ことわり)であって、人間や犬といった生物であってもこれは例外ではない。生物の面白さは、有機物無機物で構成された体が、思考をしたりする力を持っているということに尽きるのではないかと思う。とすると、結局のところ生物を研究して最終的に求めたい真理とはなにかというと、明らかにものであったものから構成された人間が考え、話し、感情を持っているのかを突き止めることだろうと思う。そうなると、やはり物理的な側面も知るべきだと私は思う。

話がそれたが、物理の面白さとは何か。
それは、見えないものを見えるものにしていくという作業である。
引力は目には見えない、だけども太陽と地球を1AUという距離を保っていられるのも引力を含めた相互作用によるものである。
そして、目に見えるようにしていくのだけどもそれからいろいろと謎がさらに生まれるのも面白い。
まさに、物理学とはゲームなのだ。また、自然が語りかけてくる言葉を必死に人間が理解できるものにしていく作業なのだ。これをやるというのは一種の中毒かもしれない。
人間は何かを達成した時に一番喜ぶのではない。達成するまでにいろいろとやってきた作業で楽しむのだ。結果は副次的なものでしかない。物理は最高の知的ゲームだ。何しろ自然が相手だ。自然というものは誠に面白いやつで、いろんなものが詰まっている。
宇宙もそうだし、人間だって地球だってなんでも探究の対象となる。
私からすると、人間の匣で行うマネーゲームの方がつまらないと思う。そこには、あくまでも人間しか関与しない。人間の世界なんて矮小だ。それは匣だ。閉じた匣だ。匣の中のルールでしか遊べない。自然は、匣ではない。そもそも人間は理解できるものかすらわからない。そして、何よりも美しい。この美しさは、偶然もたらされる。だからまたよい。
繰り返そう。物理は面白い。やらないのは損だ。
そもそもGIRAFFEという名前はなんなのかである。これは高分散分光器で、波長範囲は370µm~900µmである。
詳しく知りたい方は下のところをみてください。
ESO-GIRAFFE
さて、この高分散分光器を使って天の川のバルジあたりを見ましょうというサーベイが行われた。
GIRAFFE Inner Bulge Survey(GIBS)というもので銀河のディスクより下の辺りを重点的に調べている。
というのも、天の川銀河の中心というのはダストの減光が激しく、ほとんどの星が見えないからである(ただし、これは可視の話であって、波長を変えれば見通すことができる)。
ということで、銀河ディスク辺りは見ていないが、それよりかはダストの減光が弱いバルジを調べましょうというのが盛んではある。
天の川銀河は我々の銀河であるのに分かっていないことは非常に多い。兎にも角にも、銀河について調べようという試みはいろいろと面白いものである。
バルジに関しても昔は球形だと思われていたが、赤外線の観測ができるようになったころから別のpseudoバルジというものがあると思われている。
このpseudoというのはその名の通り、擬という意味で、バルジのようなものという意味である。これがなんたるかというのはまだまだよくわかっていないことが多い。
理論からは箱、ピーナッツ型(B/P)をしたものだろうと言われて、いろいろな観測からもそれを支持する結果が現れた。この論文もそうである。
銀河の話で、主に速度(力学)と金属量([Fe/H])には関係があると思われている。
高分散分光器では速度と金属量を調べることができる。(キーワードはドップラー効果と等価幅)
GIBSのサーベイをしたところ、銀河系中心に行けば速度分散が増え、外側だと速度分散が小さいことがわかったらしい。
速度分散が大きいということは平衡を保つために球形である必要がある。そして円筒回転していることがわかった。
このことからまあ、B/Pだろうという話になる。
ところが、変光星を用いた結果はそれが見えないというものをもたらしたのですね。
それは今度紹介できればいいですが、まあ、次回。
M.Zoccali et al. 2014, A&A, 562, A66
arxiv:今回紹介した論文
プロフィール

水妖の音楽

Author:水妖の音楽
京都大好き大学生。
2009年 天文学会参加
2013年 サマーチャレンジ  
2015年 夏の学校
現在天文学を勉強中の大学院生
主にあわぎゃらくしーをやっていますが、銀河とつけばなんでも面白がります。
思想の根本は荘子であるため誰かしらに与することはしません。
身体論、哲学の類いの話も好きです。
趣味は読書とクラシックと絵画をみること山登り。
籘真千歳先生のファンです。
SFが特に好きです。森見登美彦さんも好きでサイン本を持つほど。ライトノベルは半分の月がのぼる空。ホラーなら玩具修理者。
クラシックはアリシア・デ・ラローチャやバーンスタイン、佐渡裕、カツァリス等が好み。
絵はマグリットやら、ルドン、川瀬巴水、ドミニク・アングル

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