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実験的試み

平野啓一郎氏の『空白を満たしなさい』を読んだ。
この作品はなぜか生き返った主人公が、自分の死が自殺だということを知り、どうしてそうなったのかを考えるものだ。
最初の方は主人公は自殺ではないと主張する。自分は殺されたんだと。
そこから物語はある方向へと進んでいくのだが、それは是非とも読んで欲しい。

NHKのスイッチインタビューで平野啓一郎氏が出てたやつにもあったのだが、「どのゴッホが、どのゴッホを殺したのか」という質問がある。
今回の焦点となるのは、まさしく自殺とは何なのかにあたる。そこで、上の言葉がヒントになる。
人間には、いくつもの自分がいる。
それはビリーミリガンのように多重人格ではなくて、それこそ人間関係で作ってきた複数の本物の人格があって、目の前にいる人によって使い分ける。
これと似たような話が鷲田清一の本にもあった。ちょっと思い出せないが…

ともかく、自殺と自己とは何なのかを探求した本であると言える。
作中で分人という言葉が出てくる。
これは私の中でもしっくりくるものだった。
それを考えると自己を、己を知っているという思いあがりは傲慢だと思った。
それは他者は鏡であり、その鏡はすべて同一ではなく、それから見える自分は様々だ。
でも、気に食わないものであろうと、そうでなかろうと自分だ。
いつからか、自分を美化したり、卑下したりする感情を持つ。
だから、荘子の道が嵌るのだろう。それこそ、無為自然で自分を見つめること。貌を知るということだと思う。

いろいろと考えされた。
でも、この本は趣味で読むものではない。それほどまでにこれは考えさせられる本だ。

空白を満たしなさい空白を満たしなさい
(2012/11/27)
平野 啓一郎

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プロフィール

水妖の音楽

Author:水妖の音楽
京都大好き大学生。
2009年 天文学会参加
2013年 サマーチャレンジ  
2015年 夏の学校
現在天文学を勉強中の大学院生
主にあわぎゃらくしーをやっていますが、銀河とつけばなんでも面白がります。
思想の根本は荘子であるため誰かしらに与することはしません。
身体論、哲学の類いの話も好きです。
趣味は読書とクラシックと絵画をみること山登り。
籘真千歳先生のファンです。
SFが特に好きです。森見登美彦さんも好きでサイン本を持つほど。ライトノベルは半分の月がのぼる空。ホラーなら玩具修理者。
クラシックはアリシア・デ・ラローチャやバーンスタイン、佐渡裕、カツァリス等が好み。
絵はマグリットやら、ルドン、川瀬巴水、ドミニク・アングル

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